田舎の古民家暮らしに憧れるあなたへ
田舎暮らしに興味を持つ人々にとって、「古民家でスローライフを楽しむ」というイメージはとても魅力的なものです。広々とした空間、木の温もり、そして自然に囲まれた静かな時間。確かに、それは理想的なライフスタイルに思えるかもしれません。
私自身、都会での生活を経て、築90年以上の古民家で暮らすようになり、多くの空き家物件を見てきました。その中で感じたのは、古民家暮らしには夢だけではなく、現実的な準備と覚悟が必要だということです。
「こんな話を聞きたかったわけじゃない」と思うかもしれませんが、この現実を知ることが、後悔しない田舎暮らしの第一歩です。さあ、田舎の古民家で暮らすために必要な心得について、ひとつひとつ紐解いていきましょう。
1. 庭や畑の管理は想像以上に大変
古民家とセットになりがちな広い庭や畑。最初は「自然に囲まれた暮らし」を思い描いてワクワクするかもしれませんが、実際には草刈りや剪定、土の手入れなど、管理には多くの時間と体力が求められます。
特に夏場は、2週間も放置すれば草が伸び放題になります。「憧れ」だけでなく「管理」を現実的に考える必要があります。
2. 地域のつながりは濃密
田舎では、自治会活動や近所付き合いが生活の一部になります。都市部で暮らしていた人にとっては、この密な人間関係に驚くこともあるでしょう。
しかし、このつながりが田舎暮らしの魅力でもあります。地元の方々と仲良くなれば、新鮮な野菜や果物が届くなど、思わぬ楽しみもあります。
3. 即入居可能な家はほぼない
田舎の空き家で、入居時に手を加えずそのまま住める物件は非常に少ないです。きれいに見える家でも、給湯器が壊れていたり、雨漏りがあったり、害虫や小動物の被害がある場合もあります。
こうしたトラブルに対処するには、事前の確認や調査が不可欠です。少しの不具合が、後々大きな問題になることもあります。
4. 修繕の負担は避けられない
田舎の空き家物件は、基本的に「現状のまま」で提供されることが多いです。買うにしろ借りるにしろ、建物の修繕は入居者の負担が原則。例えば、壁や屋根の修理、配管や給湯器の交換など、手を入れる箇所は少なくありません。
購入なら自由に改装できますが、賃貸の場合は制約があることも。どちらにしても、自分で動く覚悟が必要です。
5. 安い家賃に潜む落とし穴
「できるだけコストを抑えて移住したい」というのは自然な考えですが、家賃が安い物件ほど、修繕が必要な箇所が多い可能性が高いです。結果的に初期費用がかさむことも珍しくありません。
「安い物件だからお得」という短絡的な考えは危険。修繕費用や労力も考慮した上で選びましょう。
いきなりの古民家暮らしは慎重に
最近では、まず公営住宅、移住お試し住宅などで暮らしながら地域に慣れ、その後で理想の古民家を見つける方が増えています。こうした段階的な移住は、余裕を持って田舎暮らしを始めるための賢い方法です。