移住日記|空き家対策条例を身近に感じた一件

屋根瓦が飛んだ空き家

以前のエントリーでもお話ししましたが、この春から町内会の役員をやらせてもらってます。

▶︎ 移住日記|自治会の役員になって良かったこと、感じたこと

なので、町内に住んでいる人から様々な問題を相談されます。ゴミ出しのマナーが悪い人がいるだの、犬のフンを放置していく人がいるだの、街灯が消えているだの…。その都度、貼り紙を作って注意喚起したり電球を取り換えたりするわけですが、つい先日、町内のある空き家の敷地内に蜂の巣ができて困っているという相談を受けました。

とりあえず、私と町内会長でその空き家にできたという蜂の巣の様子を見に行くことになりました。

問題になっている空き家の現状

その空き家はここ数年の間放置されていて、草木は伸び放題、池は淀んでボウフラが発生しており、しかも持ち主が外国の方で、母国に帰ってしまいまったく連絡も取れず。道路にはみ出した植木の枝は、仕方なく近隣の人で切っている状態でした。
役場にも何度も相談しているものの、持ち主が存在する以上、勝手に敷地に入るわけにはいかないとのことで、近隣の皆さんは困り果てています。

不幸中の幸いと言いますか、問題の蜂の巣は入り口の門扉のすぐ近くにあったので、会長が持ってきていた殺虫剤を敷地の外から噴射することで対処できました。
とは言え結局問題の根本は何も解決しておらず、どうにもスッキリしない感じで空き家から引き返します。
広大な庭があり、二階には洒落たバルコニーなんかもある立派な家だけに、賃貸物件に住んでいる私としては「もったいないなぁ」という気分で何気なくその空き家を振り返ってみました。

先日の台風の爪痕が…

さっきは気づかなかったのですが、よく見ると屋根の瓦が一部なくなっていました。先日の台風の影響でしょうか。
当然、誰も使っていない家なので修繕する人もいません。家というのは住む人がいないと劣化のスピードが速いといいます。それに加えて屋根が壊れているとなれば、そこから雨が漏れ、劣化はさらに進行を速めるでしょう。あぁ立派な家なのに。

それを見た会長さんは、ニヤリと笑みを浮かべて「いいぞいいぞ」と呟きました。

朽ちていく空き家の何が「いいぞいいぞ」なの?

え? え? 何がいいんですかもったいない。このままじゃ朽ち果てちゃうじゃないですか。一瞬そう思ったのですが、私もすぐに会長さんの真意を理解しました。

あの空き家がもうちょっと崩れてくれれば、倒壊の危険がある「特定空き家」ということで役場も動かざるを得なくなる。所有者に必要な措置を勧告できるし、従われなければ行政代執行によって家を解体することもできる。そうなれば我々近隣住民の悩みのタネはなくなる。そういうことなんです。なんですが……

うーん、でもやっぱりもったいないなぁ。あの家、使わないなら僕にくれればいいのに。

会長さんは「台風もう一回来い!」とか言ってるし。いやいや会長それはちょっと。

すぐ目の前の、去年まで農地だった土地では宅地開発が行われ、建売の家がどんどん新築されているのも、なんだかなぁって感じです。